実地研修@東鳴子温泉

こんにちは。つるです。

私が所属している(社)いわき産学官ネットワーク協会では、

農林水産物の生産や加工、消費者ニーズを踏まえた販路開拓までを一つのビジネスサイクルととらえ、
戦略的に農商工連携を展開する「核」となる人材を育成・確保することを目的とした
農商工連携人材育成塾を9月から開講しています。

 

10月8日(土)~9日(日)の二日間は、実地研修として宮城県の鳴子地域へ行ってきました。

 

農家さんや、企業に所属する方、一般の方など、参加者は全部で14名。

いわき市役所前に集合し、片道約3時間のバスの旅でした。

 

大沼旅館

今回お世話になったのは、東鳴子温泉の『旅館 大沼』さん。

湯治の宿として、百年以上の歴史を持つ老舗です。

 

大沼旅館での研修風景

緑に囲まれた広いお部屋で講義開始を待つ受講生たち。 

旅館の離れにある山荘で、今回の講義はおこなわれました。

 

大沼伸治さん

一人目の講師は、『旅館 大沼』の五代目湯守・大沼伸治さん。

 

東鳴子温泉地域を中心に、 

湯治×農業体験×アート×人と人の交流など、

さまざまなコラボレーションに携わっている方です。

 

大沼さんによると・・・・・

 

今の時代、都市部で働く人々にとって、日常生活にはストレスが多い。

そこで生まれた発想が、『農業』+『バカンス』=『農のあるバカンス』、つまり『農バカ』。

 

自然に触れ、力いっぱい遊んだり、汗をかいて農業体験をすること=『放電

採れたてのおいしい作物を食べたり、温泉で心身ともにリラックスすること=『充電

 

宇宙のリズムと等しく、『放電』と『充電』は人間にも必要なライフスタイルとのこと。

 

たしかに、と納得しました。

 

そこで取り組んでいらっしゃるプロジェクトの一つが、『大豆レボリューション』。

ここ、東鳴子温泉地域から、国内生産わずか5%の大豆の自給率を上げるために、

種まきから草取り、収穫、脱穀、味噌づくりまでを体験プログラムとしてイベント化。

農業に励んだ後には、もちろん温泉が待っています。

まさに、『放電』&『充電』ですね(笑)

 

大豆を媒体とし、都市と農村、心と心を結ぶプロジェクト。

なんだか、心もカラダも元気になりそうですよね。

 

収穫祭には、畑の真ん中で、採れたての枝豆と生ビールをいただくそうです。

ちょっとうらやましくなってしまいました。 

 

年々、参加者が増え、認知も広がってきているということで、今後はさらに注目です。

 

鈴木美樹さん

続いて、お話いただいたのは湯治研究家の鈴木美樹さん。

 

鈴木さんは、生粋の都会っ子。

都心で育ち、アパレル会社に就職して、バリバリに働くキャリアウーマンでしたが、

長期にわたっての過酷な業務や、忙しさ、ストレスから、

突然、原因の分からない体調不良に見舞われ、 

心と身体のケアを求めて、『湯治文化』と出逢い、魅了されたそうです。

 

悩んだあげく、 「自分も湯治宿をやりたい」と一念発起。

ご縁があってここ東鳴子温泉にたどり着いたとのこと。

 

東京→東鳴子への移住には大変なご苦労があったと思われます。

それでも鈴木さんを突き動かした大きな力とは、この東鳴子温泉の魅力、

農村ならではの自然や文化、あたたかい人と人の交流に他ならないのだと思いました。

 

今は『旅館 大沼』で修行をしながら、東鳴子ならではのイベントを企画なさっています。

鈴木さんの新しいチャレンジを応援したいと思います。 

 

●鈴木さんのサイト日々温々」 

 

続いて一行が訪れたのは、『よっちゃん農場』。

 

赤唐辛子を栽培している農家さんで、代表の高橋博之さんは奥様と二人三脚で

オリジナルの唐辛子ソース『よっちゃんなんばん』を製造・販売されています。

 

唐辛子

大きく実った赤唐辛子。

 

商品

主力商品の『よっちゃんなんばん』と、その他のオリジナル商品たち。

 

高橋博之氏

代表の高橋博之さん。

田舎ならではの“地域のつながり・助け合い”を大事にしながら、農場を経営されています。 

山間部の小さな農家として、専業でやっていくためにはどうしたらよいか、お話しいただきました。

 

震災後は、沿岸部で被災した方々が、この地域を2次避難場所として約1000名滞在しているそうです。

宮城県の中でも特に津波による被害の大きかった沿岸部、

そして地震による被害の大きかった山間部、

両者が手を取り合い出来る事をしていこうという活動、『海の手山の手ネットワーク』に

高橋さんも参加されていらっしゃいます。

「まず自分達でできることから始める」をモットーに、自主的に動くことの大切さを学びました。

 

交流会

これで初日の講義は終わり、夜は『旅館 大沼』さんで、交流会です。

講師の皆さんも交えて、楽しくお話をしながら東鳴子の食を堪能しました。 

 

『講義』という決まった形式ではなく、食事をしながらフランクに会話することで、

講師の皆さんと受講生との距離が縮まったように感じました。

 

お食事

この日のお料理。

 

手前・中央の寄せ豆腐は、前述の『大豆レボリューション』で昨年度収穫した大豆を、

いわきのとうふ屋大楽さんに提供して作ったコラボレーションなんだそうです!!

(なんと、すでに“いわき×東鳴子”のご縁があったんですね!!)

 

そこに、先ほどの『よっちゃんなんばん』をかけていただきました。

三者間のコラボレーション。

お話を聞いたり、見学してきた後だったので、余計に美味しく感じました。

 

ゆきむすび

ご飯は、『鳴子の米プロジェクト』から誕生した 『ゆきむすび』の炊き立てをいただきました。

うるち米なのに、もち米のようにふっくらと粘り気のある、とっても美味しいお米です。

 

ゆきむすび
お酒

この『鳴子の米プロジェクト』は、食べる人と作る人が一緒になって地域の農業を支えていこうと

宮城県大崎市が地域をあげて取り組んでいるプロジェクトです。

 

鳴子地域は、山間地帯で水が冷たく、平地に比べて日照量も少ないため、

稲作が難しいといわれていました。

そこで、このような条件でも丈夫に育つ品種を開発し、実験したところ、病気や冷害にも強く、

おいしいお米が出来上がり、『ゆきむすび』と名づけたのです。

 

安定した米価を保証し、農家が安心して農業を続けられる体制もつくりました。

また、若い世代に農業体験を通して米作りを知ってもらう活動をしているほか、

お米の食べ方レシピから器選びまでトータルに提案し、食文化を豊かにすることにも一役買っています。

 

ここ、『旅館 大沼』では、『ゆきむすび』のお米はもちろん、お酒も取り揃えてありました。

 

発足してまだ5年のプロジェクトだそうですが、『ゆきむすび』がしっかりとブランド化されていて、

ちゃんと地域おこしにつながっているのを実感しました。

地域全体で支える農業」として、全国的にお手本となるような素晴らしいプロジェクトだと思いました。

 

宮本さん

実地研修2日目。

最後の講義は、鳴子温泉観光協会理事であり、お菓子と喫茶のお店『たまごや』のご主人でもある

宮本武さんにお話をうかがいました。

 

場所は、宮本さんが運営委員長をなさっている無料休憩スペース『好日館』です。

 

小学校の机
好日館ギャラリー
おみやげ

好日館』は、鳴子温泉駅の目の前という好立地にありながら、

もともとは魚屋さんだった空き店舗を活用し、無料休憩所として提供しています。

 

観光案内所とギャラリースペースもかねているので、中には書籍やアート作品がびっしり!

訪れる人たちの目を楽しませてくれます。

ちなみに机や椅子は、旧鳴子中学校から譲り受けたものだそうです。

 

通常営業のほか、ミニライブや地元のお母さんたちのお惣菜直売イベントに使ったりと、

幅広く活用中。

地元の方も旅行者も、だれもが気軽に立ち寄れるコミュニティの場として利用され、

県外にも多くのリピーターがいらっしゃるそうです。

 

人が集まる場所に、情報が集まり、交流が生まれる。

頭ではわかっていても、実際につくることができるかどうかは別の話だと思うんです。

こういった『』の重要性をあらためて認識するとともに、

実際にカタチにして、ずっと続けていらっしゃることが素晴らしいなと思いました。

 

ディスカッション1

さて、2日間の実地研修もいよいよ大詰めです。

最後は、ここで学んだことをどうやって“いわきで”活かしていくかというディスカッションでした。

 

ディスカッション2

いわきで活躍する、さまざまな年齢、業界、職種の方々。

参加者全員でアイデアを出し合い、発表をおこないました。

 

それは、どちらかというと、具体的なビジネスプランというよりも、

「こうありたい」「こうなったらいいな」という類のものでしたが、

人と人の絆、地域とのつながり、今あるものを活用するといった共通点が見られました。

 

何事も、第一歩は、「こうしたい」という、情熱から始まるものです。

今回のディスカッションで生まれた“アイデアの芽”を、いわきに持ち帰り、育てていくことで、

鳴子地域に負けない、“いわきならではの農商工連携の取組み”ができるのではないかと思いました。

 

 

二日間の研修。

講師をつとめてくださった『旅館 大沼』の大沼伸治さん、湯治研究家の鈴木美樹さん、

『よっちゃん農場』の高橋博之さん、『好日館』の宮本武さん、本当にお世話になりました。

 

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

(つる)

 

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コメント: 2
  • #1

    旅館大沼 五代目湯守 大沼伸治 (火曜日, 18 10月 2011 07:45)

    この度は、農商工連携人材育成塾の研修旅行で鳴子温泉郷、旅館大沼においでいただきまして誠にありがとうございました!地震、津波、原発の風評と大変な状況にあるにもかかわらず、前向きに進もうと頑張っておられるいわきの皆さんのお姿に接し、本当に感動いたしました。
    一言でつながると言っても、思い、そのつながりかたなどいろいろとあると思います。是非、いわきらしさ、鳴子らしさが今後も良い形で結びついてゆければいいなと思っておりますの。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。まずは志から、志・農工商連携!!!

  • #2

    iwakinome (火曜日, 08 11月 2011 12:28)

    旅館大沼 五代目湯守 大沼伸治さま
    ご返信が遅くなりましたが、先日は講義から滞在中のトータルサポートまで、本当にありがとうございました。
    「志・農工商連携」っていい言葉ですね。頭に「志」があるってことで、まずは熱い思いや情熱が必要ですね。大沼様からはそれをひしひしと感じました。
    今後ともお互いに頑張りましょう。どうかこれをご縁に、末永く宜しくお願いします。